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貴方と未来を過ごしたい

第4章 ある日のハートの海賊団




ある日の事。


「やだ!絶対食べない!!」


そんな みのりの声が響く食堂。 みのりの目の前にはベポがいた。
どうやら人は中々信じられないようだが、ベポの事は人間ではないから話しやすいみたいでちょっとした話はベポにしているらしい。曰く、一人暮らしをするまでのご飯はろくに食べられなかった。曰く、まともに仕事にありつけなくて残飯を漁るような日もあった。曰く、能力を使って盗みまでした事がある等。
だからなのか、 みのりは飯を残さない。


「でも、 みのり…」
「無理!嫌!食べたくない!」


ベポが説得しようと再度声をかけると、頑なに みのりは拒絶した上によっぽど嫌だったのか瞬間移動してまで逃げた。…何がそんなに嫌だったんだ?今日の飯は、シャチが作った野菜のスープと乾燥干し肉。2つとも散々出されてきた筈なのに…。


「おいベポ。どういう事だ」
「あ、キャプテン…それが…」


ベポは困ったように部屋の外をチラチラと見る。いつもと違って様子のおかしい みのりを探しに行きたいんだろう。俺だって気にはなっている。けど、先に話して分かる事があれば話しておくに限る。


「その…いつも通りに、今日は野菜スープだねって言って… みのりが、スープ見たら…食べないって言い出して…具合悪いの?って聞いても違うって。じゃあ食べなきゃ駄目だよって言ったら、食べたくないって…」


どうやら理由もなく食べないと言った みのりに食べるようにと説得した結果がああらしい。…理由もなくか…。


「おい、シャチ」
「あいあい」
「今日のスープ、いつもと何か違うのか?」
「うーん、何かって言われてもなぁ…俺、基本的に野菜スープ作る時って面倒臭い時に中途半端に余ってる野菜ぶち込んでるだけだからなぁ…」
「そうか…」


そもそも、 みのりが来てからもう何度目かの食料補給をした後だ。補給する食料は特に変えていない。なら、一体何が…。


「…よし、とりあえずこのまま考えても埒があかねえ。先に みのりを探すぞ」


そう言って、皆で みのりを探す事にした。あいつの中の闇は、一体どれだけ深いんだ。

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