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貴方と未来を過ごしたい

第4章 ある日のハートの海賊団




ある日の事。


「そもそもみのりって料理出来るの?」


ベポからの一言に普段は真顔のみのりがニッコリと笑って答えた。


「ごめんね、私料理出来ないの」


闇が深そうだな。地雷を踏んでしまったと悟ったベポが慌てているが、どうやらフォローする余裕もないのかみのりが席を離れた。
うちの飯は普段シャチが作っている。ペンギンも作れない事は無いが、量を作るのがしんどいと言って作らない。ベポに関しては毛が入り込みそうだそもそもやらせていない。他の奴らの中には作れる奴がいるが、シャチが作らない時に作る程度だった。
今日、シャチが体調を悪くして他の奴が作る事になった。それに対してペンギンがたまには女の手料理が食べたいと喚き、もうみのりでも良いから作ってくれよと言いだした。その時、ベポが至極当たり前な疑問をぶつけたらこれだ。


「…あの笑顔は、作ってたな…」


みのりがうちの船に来てどれぐらい経っただろうか。来たばかりの頃は稀に微笑むぐらいだったのが、最近では無邪気に笑う姿が増えてきていた。いつだったか、やっと幸せだと思えてると言っていたみのり。みのりの中には前の世界の思い出がまだ残っている。


「…ちょっと様子を見てくる」
「頼んだよ、キャプテン…」
「ごめん、キャプテン…」


言い出しっぺのペンギンと、質問をしたベポにそう言われて苦笑いをする。どうにか元気になってくれたら良いんだけどな。
と言っても、まずみのりを探す所からだな…みのりの行動パターンが分かる程まだ付き合いは長くない。上手い慰め方も知らない。どうしたものかととりあえず俺の部屋へと向かう。ここにいてくれたら楽なんだが…どうやらそう簡単にはいかないらしい。今は航海中だからみのりが海中で見えない位置にいる可能性もある。


「…まさか、船から出ていかないよな…」


みのりから聞いたのは、前の世界ではみのりの能力は怖がられたり嫌われたりして酷い目に合っていたらしいって事ぐらいだ。具体的に聞いた事は無いが、ああやって表情が無くなる程だったんだから相当辛かったんだろう。


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