第4章 ある日のハートの海賊団
「2人が腹の立つ言い訳をしながらも結果的には水着姿を見てたから、どうせローが怒ったんでしょ」
だからってあそこまで言い合いになるのか普通。いや待てよ、そもそも2人の言い様的にローも見てたみたいな感じだったな。うーん、私は期待をするべきなのかローも男だったんだなと悟った方がいいのか…。
「…お前も、一応は女って事を理解して行動しろ」
一応って言われてるし悟る事にしよう。好きな女にこんな無礼な一言放つ程馬鹿だと思いたくない。よし、過保護なお父さんって事にしよう。それはそれで腹経つんだけどね!
「肝に銘じておく…」
これが初恋か私。不毛だ。いや、一緒にいられるだけ幸せなんだから…些細な幸せを大事にしよう。
「ところでみのり…水着着てるって事は海に入りたかったの?もう外真っ暗だよ?」
「えぇ!?1番見たかった夕焼けの中の海を逃しちゃった…もういいや、今日は諦める…」
今日は朝からペンギンとシャチにイライラして、酷い言われようをされて…折角ローに水着を選んでもらったのにローからも一応女だなんて言い方をされて悲しくなって…水着を着たせいで謎の言い合いが勃発するし…。
「何とも無駄な1日だったなぁ…」
女部屋に戻り水着から寝間着へと着替える。もう気分が落ちたし今日は寝よう…朝早く起きて朝焼けで見よう。ご飯も朝早く起きて、またパンでも食べに行こうかな。朝ならローもいちいち着いてこなくて大丈夫でしょ。うん、そうしよう!
そうと決まればさっさと寝て早起きしないとなぁ…そう思って女部屋から出ようと扉を開けるとローがいた。え、どうしたの。
「…何か用?」
「…言い忘れてた事があった」
「言い忘れてた事?」
まさかこの後に及んで私にダメージを与えるつもりなのかな。ローの事暫く避けたくなるからやめて欲しいなぁと思っていたら何故か少し頬を赤くして顔を逸らしながらローがポツリと言う。
「水着姿、似合ってた」
それだけ言って、ローが去っていく。えぇいやもう、何それ。
「人の気も知らないで…!」
ローがさっさと行ってくれて助かった。自分で分かる程に今私は顔が赤い。こんなんじゃ早く寝れないし、同じ部屋で寝るのにどんな顔したらいいのよ!
案の定、まともに顔も合わせられない上に早寝も出来なくて私が水着を着て海に入るのは後日となりました。