第4章 ある日のハートの海賊団
「という事で、選んで!」
どうせなら、という事でみのりと買い物に行く事になった。ついでに水着を選んでくれと言うから水着が売ってる店に行くかと思えば本屋に入るみのり。迷いなく18禁のコーナーに入ると先程の台詞を俺に投げかけた。
「………どういう考えでこうなったのか教えろ」
「え、性欲発散したそうなペンギンとシャチへの嫌がらせ」
それ以外何があるのと言いながら表紙から既にやばい本をペラペラとめくるみのり。
「うーん、この黒塗りの先は一体どんなものなんだろうか…」
頼むから真顔でそんな事を言わないでくれ。俺の思いも知らずにみのりはエロ本を物色する。周りからの目が痛い…流石にこれは辛い。男女でエロ本を探すだけでも異様なのに女の方が率先して探してるなんてどうなったらこうなるのか訳が分からないだろうな…俺が1番知りたい。
「ねぇ、やっぱり胸大きい方が良いのかな」
パッと見せられた写真では胸のでかい女が男のモノを挟んで愛撫しているシーンだった。…酔ったみのりを見て以降そもそも俺はみのり以外に反応しない…これを見てもそれなりに大きさが無いと出来ないよな、ぐらいしか感想が出ない。
「…知らねぇよ…」
「ふーん…にしても、おしっこの出るモノをよく舐めれるなぁ…」
早く帰りたい…。そんな俺の願いはみのりに届かず、30分ぐらいこの空気の中にいる事となった。結果みのりが選んだのは巨乳特集とSM特集だった。渡されたペンギンとシャチが困れば良いのに。
「さて、水着見に行こうか」
俺の手を取り早く行こうと微笑み掛けてくるみのり。その手にエロ本を持ってなければ良かったのに…。みのりを好きだと気付いても、時折何でこんな変な奴を好きになったのかと疑問を抱いてしまうぐらいにみのりは変わってる。感情を殺しすぎたせいで表情筋が動かないだけで別に喜怒哀楽は存在すると言っているが、喜怒哀楽があるにしても変な行動ばかりだ。感情を殺し過ぎたせいでどこか思考回路が壊れてるんじゃないだろうか。
そんな事を思いつつも、繋いだ手に今は満足しておく事にした。