第4章 怒りの裏返し
今日はオフ日。
日曜だが芸人に曜日の感覚なんかない。
トウキョウに行く準備をしなくてはならないため休みにしてもらったのだけど全く進まない。
溜まった洗濯や部屋の掃除をしたり引っ越し用の段ボールに荷物をせっせと積めていく。
何か音が無いと寂しくてテレビを付けるとお昼の生放送でやってるグルメ番組があっていた。
そこには食レポする簓さんが映っていて思わず手が止まってしまった。
あれからずっと会っていない。
テレビに映る簓さんはいつもの笑顔でロケをしていた。
もうあの顔は俺には見せてくれないんだろうか、というか簓さんは俺のこと忘れたのかも。
気持ちがモヤモヤして時間だけが過ぎていく。
引っ越しの準備が終わらない、テレビを消そうとリモコンを持った時だった。
着信音が鳴って画面を見れば盧笙さんからだった。
「お疲れ様です」
「お疲れさん、トウキョウ進出おめでとう」
「有難うございます!誰かから聞いたんですか?」
「まあな、今日って空いてるか?」
「大丈夫です、今日オフなんで」
「それは丁度良かったわ、今から飯でもどうや?お祝いしたる」
「マジすか!行きます!」
引っ越しの準備なんかどうでもよくなった。
先輩の誘いには断れないというか盧笙さんの誘いは断らん!