【ぬら孫】双子の兄妹は我が道を行く【奴良リクオ】【氷麗】
第5章 何度目かの再会
何かを唱えたかと思うと、桜吹雪が巻き起こる。
「うわっ!?」
「きゃっ」
急にその桜が散り、風が止むと誰かが立っていた。
「あ、なたは…」
「師匠、お久し振りですな」
師匠と呼ばれた者はゆるりと瞼を上げる。
「…ふむ、随分と老いたな。ぬらりひょん」
「ほっとけ!!」
「ふっ…鯉伴も久しいな」
「お久し振りです、綾響殿」
「綾響様!」と抱き付く若菜を優しく抱きとめる。
「若菜も、元気だったか?」
「はい、元気でしたわ。綾響様」
双子はポカーンとしている。
「水月も久し振りだな、元気そうで何よりだ」
「は、はい!」
「君が大翔だな。優菜達から話は聞いているよ」
「は、はい」
「…して、俺を呼んだのは何故だ?ぬらりひょん」
「いえ、双子と会っていただきたく思ったからですわい」
「…ふーん、お前の事だから"アイツ"も来てくれたらとか思ってたんじゃねーの?」
ギクッと目を逸らすぬらりひょんに冷たい視線を送る綾響。
「綾響様!お義父さんよりも私や双子ちゃん達と一緒にゆっくりしませんか?」
「それもそうだな。若菜、ちょっとごめんな」
「え?ひゃっ…」
「こっちの方がいいだろう?」
「んもう、綾響様ったら//」
クスクスと笑い、若菜を姫抱きしたまま歩き始める綾響の後ろをついて行く双子。鯉伴は溜息を吐き、ぬらりひょんをジト目で見る。
「親父」
「な、なんじゃ」
「…よくお袋に捨てられなかったよな、ホント」
「うっ、珱姫がワシを捨てる訳ないじゃろ!?」
「いや、綾響殿が男だったらアウトじゃ…」
「…言うな、鯉伴」
落ち込むぬらりひょんを慰める鯉伴であった。