第1章 別府太郎の話【完結】
「はい、ラザニアできたよ~」
放課後、加工室にチーズの焼けたいい匂いがし、別府の前にぐつぐつと熱を帯びたラザニアが置かれる。
「いただきます!」
「乾麺と違って生だからモチモチしてるよ。普通のとちょっと水の配合とか変えてみたんだけど大丈夫かな?」
隣に座るはエプロンをして心配そうに見ていた。
「大丈夫です、すごく、美味しいです!」
「本当!? 良かった~」
ハフハフと熱さに耐えながらもどんどん食べていく別府にも嬉しそうに笑う。
「これって、ソースも全部先輩の手作りですよね?」
「うん、皿とか食べられない物以外は全部だよ。チーズも中島先生にお願いしてもらったんだ」
「俺、今までのラザニアって食べたことはないんですが、きっと一番美味しいです」
「えへへ」
満面の笑みを浮かべると美味しい料理、とてつもない幸せを感じる別府だったが、昨日の言葉が頭をよぎる。
『先輩が別府のどこを好きになったのか直接聞けばいい話じゃないのか』
「……」
「あれ、どうしたの?」
フォークを置いた別府を不思議そうに見るが、どう切り出せばいいのかわからない。
「あのですね、その……聞きづらいんですが、俺の……」
「!!」
意を決して口を開いたが、扉を開け入ってきた男達の声に阻まれた。
「、ここにいたのか!」