第1章 別府太郎の話【完結】
「、先輩?」
「……言っちゃった」
俯いて呟く声は先ほどと同じ人物とは思えないくらい弱々しく、振り返ったは目を潤ませている。
「ひいたよ、ね?」
「何でですか?」
「だって、太ったお腹が好きとか言ったら、男が『巨乳の女が好き』とか言ってるようなもんじゃない」
見上げるの目からボロボロと涙が零れだした。
「あ、あの、先輩泣かないでください」
「ごめんね別府くん」
別府自身は何もショックを受けていない。どうやって伝えればいいか、悩んだ末しゃくりあげるの頭に大きな手を乗せる。
「大丈夫ですよ先輩。俺はそんな事で嫌ったりしません」
「……本当に?」
「本当ですよ。それに、優しいって言ってくれたじゃないですか。俺の中身も見てくれようとしてるんですよね」
ポンポンと軽く撫でるとは不安そうに見上げる。
「別府くんは、いつも友達といる時楽しそうにしていて、その笑顔とかも体型と一緒にほんわかしててすごく好き。それに、美味しい物食べてる時の幸せそうな顔とか、本当に好き」
「お、俺も先輩に好きって言ってもらえて、嬉しいです」
改めて言われると心臓の動きが激しくなり、耳まで熱くなるのがわかった。
「あ、あのね。お願いがあるんだけど」
「何ですか?」
泣き止んだものの、もじもじとするに別府は首を傾げる。
「その……ギュッてして、いい?」
「は、はい!」
発言に驚いたものの、両手を広げるとは腰に抱きつき別府の腹に顔をくっつけた。
「やっぱりぷにぷにしてる~」
「……はぁ」
想像とは違っていたが、それでも抱きつかれてドキドキしないわけがない。
「先輩に喜んでもらえるなら……俺、デブで良かったです」
「うん、今度食べ放題デート行こうね」
照れくさそうに笑うと、も顔をくっつけたまま楽しそうに笑った。
「先輩さ、俺の体が目当てだった」
「はぁ!?」
その日の夕食、別府の報告により寮内が騒然としたのはまた別の話。
~終わり~