【カードファイト!ヴァンガード!】 ~クレイの神子~
第10章 咄嗟の
ハルカ「ねぇ、櫂くん…?」
櫂「?」
ハルカ「さっき私の事、名前で叫んだよね?」
櫂「………っ!」
ガクン――!
無意識で叫んだのか、思い返して気が付いて動揺したのか、バランスが崩れた。
ハルカ「わっ!?びっくりした…!」
櫂「あれは急にお前が落ちたから咄嗟に…!」
ハルカ「え、じゃあもう名前で呼んでくれないの?」
櫂「…っ」
ハルカ「櫂くん他の人は名前で呼ぶのに、私の事は『おい』とか『お前』って呼ぶから嬉しかったのに…」
何だか距離を置かれてるようで、少しだけ気になっていた。
櫂「別に呼びやすいから呼んでただけだ」
ハルカ「そうなんだ…」
そんな話をしていると、崖の上に着いていた。そっと地面に降ろしてもらう。
櫂「歩けるか?」
ハルカ「うん、何とか…」
櫂「ならさっさと行くぞ、ハルカ」
ハルカ「うん。……え?」
余りにも自然に名前を呼ばれ、一瞬それが当たり前のように受け入れて返事をしてしまった。
ハルカ「櫂くん、今…」
櫂「どうかしたか?」
ハルカ「もう1回!もう1回呼んで!」
櫂「何故だ」
ハルカ「ねぇ良いでしょ?お願い!」
櫂「嫌だ」
ハルカ「えぇ!?」
目的の果物の生息地に着き、数個を採って来た道を今度は気を付けて戻って行った。