第15章 夏祭り
夕日が沈んだ頃、支度を終え、腕を組んで神社へ歩む2人。
周りにも同じ様に浴衣を着て神社へ向かう人々の姿があった。
「お祭りに行く人がたくさん居ますね」
「そうだな!
この辺りでは結構大きい祭りだからな!」
そう言う杏寿郎の出で立ちは、鈍色の浴衣に臙脂の帯。
臙脂色が今日の2人を繋ぐ色。
ペアルックに該当するのだろうか?
それにしてもやはり杏寿郎は和装が様になる。
上背があり、がっしりとした体躯。
着ているだけで色気がダダ漏れだ。
かくいうも、その色気に充てられっぱなしで直視出来ない。
「(杏寿郎さんカッコよすぎてみんな見てる気がする…
ちょっと嫌だな…)」
はあ、と杏寿郎にバレない様小さく溜息をつく。
通り過ぎる人にチラチラ見られたり、どことなく視線を感じたりする。
すると組んでいた腕がの腰に回されグイっと寄せられる。
「?」
「…が他の奴に見られるのは面白くない!」
こちらはへの視線と考え、それを不快に思っていたのは杏寿郎も同じで。
「違っ!? それはわたしのセリフです!
わたしだって、杏寿郎さんが他の人に見られるのは面白くないです!」
ぷっ、と2人で吹き出し今度は指を絡めて手を繋ぐ。
「人出が多い。
絶対に手を離すなよ?」
「はい!」
ギュッ、とより固く繋いで歩を進める。