第15章 夏祭り
「長風呂だったな!」
先に布団の上で寛いでいた杏寿郎にそう言われ、先程の出来事を話す。
「ううん、お義母さんと浴衣の生地を選んでたんです」
縫ってもらうんだ、と嬉しそうに話すの、瑠火の呼び方が変わった事に杏寿郎は気づき、頬が緩む。
自分の居ない所でもちゃんと家族になっている。
やはり俺にはしかいない、と改めて思うのだった。
「そうだったのか!
母上は縫い物もお上手だ。
して、どんな浴衣にしたんだ?」
「出来てからのお楽しみです」
ふふっ、と悪戯っ子の様に笑う。
「よもや!
では楽しみにしておくとしよう」
話が切れた所でが部屋の電気を消し、部屋を照らすものが枕元の間接照明だけになれば甘い時間がやってくる。
おいで、と布団を捲る杏寿郎の隣に寝転び向かい合う。
他愛もない話をしながら、髪を梳いたり、指を絡めたり、キスしたり…
啄む様なキスを繰り返し、杏寿郎が舌での唇をノックしてくれば、それが "合図" 。
唇を薄く開け杏寿郎を受け入れれば、後はもう蕩けてしまう。
キスに夢中になっている間に寝衣は脱がされ、杏寿郎の男らしい手に翻弄されていく。
毎夜毎夜飽きることなく繰り返される蜜事。
「っ、そんなに締め付けるな…喰いちぎられそうだ」
「そん…な、つもりじゃなっ…あっ、んん!」
日に日に暑くなる外気に、激しい動きも相まって額に、首筋に、汗がじわりと浮かぶ。
の甘い悲鳴と肌のぶつかる音が途切れなく響いた後、一際甲高い悲鳴と低い苦しそうな吐息が漏れれば、部屋には夜らしい静寂が訪れる。
欲を出し切り、ズルりとの中から自分のモノを抜き、布団に仰向けに寝転がる。
「大丈夫か?」
隣で息も絶え絶えといった様子のを抱き寄せ、頭に口付ける。
「ん…杏寿郎さん、元気過ぎ…」
「褒め言葉として受け取っておこう!」
2人で笑い合い、今夜も情事特有の気だるさに身を委ね瞼を閉じる。