第14章 逢瀬
伊黒と蜜璃と別れ、2人でそのままデートを続ける。
車で来ていたので、思い切って海まで足を伸ばした。
「良い時間に来れたな!」
丁度夕日が沈む頃。
海がオレンジ色に煌めき、とてもロマンチックだった。
道路沿いに作られたちょっとした展望エリアに車を停め、フェンスから海を眺める。
海にはサーファー、砂浜には自分たちと同じ様に寄り添うカップルの姿が見えた。
「今日はとっても楽しかったです。
杏寿郎さん、ありがとう」
杏寿郎を見上げ、お礼を言う。
「…あの後、一人の時間が出来ると、ずっと考えちゃって…」
言わずもがな杏寿郎の死の事である。
「やはりな。
伊黒が心配していたぞ」
「! だから今日…?」
「少しは元気になったか?」
後ろからを抱きしめる。
「伊黒さんのおかげで吹っ切れました。
今とっても幸せだから!」
身体を反転させ、杏寿郎と抱き合う。
「愛してる、」
「わたしも愛してます、杏寿郎さん」
ほとんど沈んだ夕日と入れ替わりに満天の星空が広がる。
その下で唇を合わせ幸せを噛み締める。