第10章 贈り物
「お風呂いただきました」
離れの縁側へ腰掛ける杏寿郎の側へ座る。
お風呂は母屋にしかないのでそちらを使うが、檜の立派な浴槽で、とても贅沢な気分を味わえた。
「よもや!
浴衣で現れるとは思わなかった!」
「瑠火様にお借りしました。
浴衣は久しぶりで…どうですか?」
濃紺に百合の花が散りばめられた浴衣は、湯上りの火照った肌と相まって色気を放ち、欲情した杏寿郎は思わず唾を飲み込む。
対する杏寿郎もグレーの無地の浴衣を着た姿が様になっており、も昔を思い出し胸が高鳴る。
手を引かれたかと思えば、目の前には天井と杏寿郎の顔で、縁側で押し倒された事を察する。
上に覆い被さる杏寿郎の少し崩れた衿元からは鍛え抜かれた胸板が覗き、昔と違って身体も結ばれた今は、それを見たの身体も疼いてしまう。
「昔も風呂上がりの君を見る度に気をそらすのに苦労した。
堪らん…」
そう言っての浴衣の衿元に手を差し込み直に胸に触れる。
「ここじゃっ、ダメ、ん!」
早々に片方の肩が表に晒されるほど浴衣は乱され、慌て杏寿郎を止める。
「…声を出すなよ?」
止めるために杏寿郎の胸を押した手は頭上で一纏めにされ、彼の空いている手で両胸が肌蹴させられる。
もうすでに立ち上がっている蕾に気を良くし、口に含んで舌で転がす。
ピチャピチャ…
「ふっ、つ…」
静かな夜、静かな縁側、杏寿郎の口から発せられる水音が響くように耳まで刺激し、下腹部が濡れるのがわかる。
口を押えようにも手が使えないので、下唇を噛み、声が漏れるのを耐える。
「こら、唇を噛むな」
そう言っての唇を舐め、そのまま咥内へ割り込む。
「…っふ、ぁ…だって、杏寿郎さんが…んっ」
潤む瞳で杏寿郎を睨んでも逆効果で。
「わざと煽っているのか?
そういう悪い子にはお仕置だ」
色気を含んだ悪い顔で囁く。
その顔にすら身体が熱くなる。
何時誰に聞かれてしまうかもわからない場所での行為に、興奮している自分に羞恥を抱くも、その理性も脆くも崩れ去っていく。