第10章 贈り物
2人でショーケースからいくつか指輪をピックアップし、試着する。
店員の説明を聞きながら、最終的に二択になったのだが、
「どうしよう…デザインが全く違いすぎて選べない…」
The・婚約指輪という感じの立て爪にダイヤモンドが付いている指輪か、普段から着けることの出来るダイヤモンドがラインになって埋め込まれたタイプの指輪か。
「杏寿郎さんはどっちがお好きですか?」
「どちらも良いが、贈る側としてはこっちの方が贈り甲斐があるな!」
杏寿郎が選んだのはThe・婚約指輪。
正直、このデザインだとダイヤが服などに引っかかってしまい毎日着けるのは難しいのだが、杏寿郎に贈ってもらう指輪。
彼の選んだ物を貰うのが1番嬉しいので、そちらに決めた。
指輪の入った袋を杏寿郎が受け取り、車へ向かう。
「左手をかして」
運転席の杏寿郎へ手を差し出し、薬指に先程の指輪が嵌められる。
車内の僅かな光でもキラキラ眩い光を放つダイヤモンド。
「今度こそ必ず幸せにする」
「今度こそ、一緒に幸せになりましょう」
誓いのキスを交わす。
♢
帰りの車。
ついついずっと指輪を眺めてしまう。
「そんなに気に入ってくれたなら贈った甲斐があるな!」
「本当に素敵で…こんな高価なもの頂いて良いんでしょうか?」
いつもが買うランクとは明らかに違うもので、値段を聞くのも怖い。
「の為なら何個でも買ってやりたい!
それくらいの甲斐性はあるぞ!」
「わたしも何か杏寿郎さんにお返しがしたいです!」
「そんなのは気にしなくて良いが…
そうだ!今夜にでも返してもらうか!」
「今夜?」
丁度赤信号で止まったかと思えば、耳元に顔を寄せ
「…身体でな」
「っ!」
声を低く色っぽく言ってきたかと思えば、ハハハっ!といつもの上機嫌で運転に戻る杏寿郎に、翻弄されまくりのであった。