第10章 贈り物
昼食後、いよいよ買い出しへ。
あそこならいっぺんに揃いそうだ、と車で少し走った所にある大型ショッピングモールで買い物する事にした。
「居間で必要なのはテレビにテーブルにラグマット、ソファもあるといいな!」
「テーブルはやっぱり炬燵が良いです!
あとは、箪笥も欲しいです」
「大物はそんなところだな!」
家具などの大物から箸や茶碗、メイク時の鏡などの小物まで買うものは沢山あった。
モール中のめぼしい店を歩き回り、ほとんど買い揃えることができた。
「わたしの買い物は済んだので、次は杏寿郎さんのお買い物にお付き合いしますね!」
「そうだな!」
そう言って連れて行かれたのは、ハイブランドの店が並ぶフロア。
ついこの間まで学生だったにはなかなか手が出せない憧れのお店ばかりで、あちらこちらに目を奪われてしまう。
漸く杏寿郎が足を止め、がそのお店を見ると、
「今日はに婚約指輪を贈りたい!
この店はどうだろう?」
女性なら誰しもが憧れるジュエリーのお店だった。
「良いんですか?嬉しい!
わたしこのお店の結婚指輪を着けるのが夢だったんです!」
「それなら良かった!
ずっと着けているネックレスがこのブランドだったから、好きなんじゃないかと思ってな!」
の着けているネックレス。
細身のゴールドのチェーンにブランドオリジナルの横長チャームが付いている至ってシンプルなもので、そのチャームには小さくブランド名が刻印されている。
はこの店が大好きで、一生懸命バイトをして貯めたお金でネックレスやピアスを購入するのがご褒美であり楽しみだった。