第1章 夢
「…ろっ!…てくれ!」
身体を揺すられ瞼を上げる。
ぼやけた視界に映るのは橙と金。
もう視界もはっきりしないし、さっきまでの身体の痛みも感じない。
「起きろっ!!!頼むっ…から!死ぬな!」
─あ、この人は…
「…し、はん……ごめ、さい…」
「謝ることなんてない!遅くなってすまなかった」
「…は、倒せ…ました、か?」
「俺が来た時にはもう死んでいた。君が倒した。良くやった。」
「よか、た…」
「もうしゃべるな!今…が此方に向かっている。」
「も、う…むり…です」
「無理じゃない!頼むから…
君を失いたくないんだ…」
─わあ、抱きしめてくれた。
これだ…最後のシーン。
「うれし、い…。しはん、さいごに、ひと…つだけ」
「最後なんて言うな…」
「…さん、…………」
バサッ
「っっ!!っはぁはぁはぁ」
涙も汗も凄い。
こんなに生々しい夢は初めてだった。
今日は珍しく最後のシーンだけ。
何と戦ってたの?
しはん、て何?
「はぁ。明日から日本に行くのに…」
なんで今日こんな夢を見たの?