第1章 夢
《何処見てんだ!コッチだっ!》
「っ!」
痛い。
痛みの走った所へ目をやると、左脇腹に大きな裂傷ができ、ドクドクととめどなく血が流れ落ちている。
自分の身体は目で確認出来るものの、それ以外は真っ暗で、先の声の主も何者かわからない。
身体中が痛い。
よく見れば出血している箇所はそこだけでは無いようだった。
これは死ぬんだ、と直感が言う。
頭と身体は別に動いているようで、勝手に身体が動く。
つまり思考回路はわたしの物、動作は夢のわたしの物、と言えば良いのだろうか?
夢のわたしは右手に持つ剣を握り直し、剣を振るう。
─あ、今なんとかの型って言った!
そう思った矢先、剣から炎が舞い上がり、先の声が呻き声を上げたかと思うと、無音になる。
まだ周りは真っ暗で、どうなったのかわからない。
ただ、私の身体は立って居られず、膝から崩れ落ち、瞼も落ちる。