第17章 過去
事の発端は、部活動で出勤していた杏寿郎が職員室で用事を済ませ、丁度出ようと扉を開けた時の事。
「やあ煉獄先生。
部活動ご苦労さま」
「理事長!
お疲れ様です!」
職員室へ入ろうとしていた理事長と遭遇。
渡したい物があるんだ、とそのまま理事長室へ通される。
「杏寿郎、剣道部ももうすぐ夏休みだね。
もし予定がなかったら、このチケットをと使ってくれないかな?」
手には2枚の航空チケット。
御館様が名前で呼ぶ時は、プライベートの時。
「あまねと行く予定だったんだけど、どうしても都合がつかなくなってしまってね」
行き先は南の島の高級リゾート地。
日付はお盆。
そんなに旅事情に詳しくない杏寿郎でも、ほいほい貰って良い額のチケットでない事はすぐにわかった。
「御館様!
流石にこれは頂けません!
キャンセル出来ないのであれば、買い取らせて頂きます!」
「うん、杏寿郎ならそう言うと思っていたよ。
今からだとキャンセルもなかなか高くついてしまってね。
あまねと相談して、それなら杏寿郎とにプレゼントしようとなったんだよ」
にこっと笑って杏寿郎の手にチケットを握らせる。
「わたしもあまねも杏寿郎とが再会出来て本当に嬉しいんだ」
理事長、もとい、御館様は鬼殺隊士全員を我が子同然に扱ってくれていた。
だから喜んでくれるのもわかる。
ただ、ここまでしてくれる理由に一つ思い当たる節があった。
あまね様とだ。