第17章 過去
真っ青な高い空に、大きな白い入道雲。
毎日茹だるような暑さの夏真っ盛りの今日この頃。
そんな暑さの中でも剣道部は休みなし。
日が傾いてきた頃、今日も朝から出勤の杏寿郎の帰宅を出迎える。
「おかえりなさい。
今日も一日お疲れ様でした」
「ただいま!
今日はに土産がある!」
「え!嬉しい!」
杏寿郎の着替えを用意し振り向くと、杏寿郎が差し出した手には2枚の航空チケット。
「御館様とあまね様からのプレゼントだ!」
まず、御館様、と呼ぶ時は仕事外での出来事。
チケットの行き先は南の方の高級リゾート地。
日付はお盆。
「プレゼントって…こんな高額なもの…!」
からしたら目が眩むような金額だろう。
「俺も初めは断ったんだが、御館様がどうしても、と!
せっかくだから楽しまないか?
初めての旅行だ!」
「うーん、そうですね。
正直、杏寿郎さんの夏休み、お盆でどこも行けないと思っていたからすごく嬉しいです!」
「うむ!俺もだ!」
るんるんで身の回りの世話をするを可愛く思いながら、今日の事を思い出す。