第92章 疑うことは容易く、だから苦しい
「このまま、こっちにいる事にした。」
え?
楓?
1か月って言ったじゃん。
『そー言う事だから。』
ちょっと待って…。
その人誰…?
「もう、日本には帰られねぇ。だからおまえも違うのを見つけろ。」
『そーよ。カエデには私がいるんだから。』
違う。
楓は私のだ!
「もう、オメーのことは好きじゃねぇ。」
『カエデはー、私の事が好きなんだもんねー。』
ウソだっ!ウソだっ!!ウソだっっっ!!!
「っっっうわぁ!!!!」
はぁ、はぁ、はぁ…。
「夢…?」
夢でよかった…。
……正夢って言葉もある…。
でも、楓に限ってそんなこと…。
いや“限って”なんて言葉はあてにならない。
あぁ、くそっ!!
疑うことは容易く、だから苦しい
信じたいのに、弱い自分がここにいる。