第91章 涙に滲む世界
「おやおやおや…。禁煙中じゃなかったのか?」
「………うるせー。」
流川が行ってから1週間。
「ヤケタバコか?」
「ほっとけ。」
「まぁ、1週間もよく我慢したな。」
は屋上で一人、タバコをふかしていた。
もともとあまり吸わないが、嫌なことがあると吸う癖がある。
「……バスケしてても、つまんない。」
「おー、おー、重症だな。」
ふと下を見ると、目立つ赤い色とデカイ声。
「あー、花道を殺してやりてぇ。」
「今のおまえにとっては、目の毒だよなぁ。」
最近、花道と晴子ちゃんはいい感じだ。
一緒にいるところをよく見かけるし、とても幸せそうだ。
「うー…。」
「どうした?」
「……楓に会いたい。」
「電話とかはないのか?」
「あると思うのか?」
「…あははは。」
これまた素直な…。
あぁ…、これは流川に文句言わねぇとな…。
涙に滲む世界
電話ぐらいしてやれ。オレの幼馴染を泣かすなよってな。