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オレンジ色の恋模様<流川楓>

第90章 重ねた手と指と視線と




選抜大会決勝戦から1週間。


「アメリカに行く事になった。」


楓がポツリと、一言告げた。


やっぱり。


こうなると思った。


でも実際に突き付けられた言葉は重く
ぽっかりと胸に穴が開いた。


「そっか…。」


悔しいな…。
私はそう答えるしかできない。


だって「行かないで。」って言えないくらい
楓は、前を向いているから。


上手く笑わなきゃ。
後は任せとけって言わなくちゃ。
頭では分かってるのに、気持ちが許さない。
言葉が出てこない。





「ダイジョーブだ。」


うつむいたままの私の手にそっと触れた、楓の指。
あ…、指先が冷たい…。


「1か月で帰ってくる。」
「1か月…?」
「お試し期間ってやつだ。とりあえずは1か月。そこで見込みがあるってわかったら、本格的に話が進む。」


バカエデ。
見込みがあるに決まってるでしょ。
あんたなんか、1週間で見込みありに丸されて、トントン拍子に話が進むわよ。


「そっか。じゃぁ、まずは1か月。頑張らないとね。」
「オゥ。」


うん。決めたよ。
ちゃんと応援する。
寂しいけど、辛いけど、笑顔で楓を見送るよ。








































重ねた手と指と視線と
アメリカに行く事…、夢だったんだよね。




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