第89章 振り子のように不安が揺れる
ディームさんは、安西先生と家族とよく相談して答えを出してくれと言い残し、深沢さんと一緒に帰って行った。
深沢さんは安西先生の教え子で、とても信頼しているとも話していた。
あぁ、これは行く方向なのかな…。
楓の背中は行きたいと物語っていた。
これはどんな手を使ってでも承諾させるだろう。
なんだよ。
アメリカはまだ早いって言ってたじゃん。
現実問題、ついて行きたくても私はついて行けない。
高校生だし、ついて行く理由がない。
アメリカと日本は遠い。
必然的に遠距離恋愛だ。
自信がない。
国内の遠距離恋愛をしてきた友達が、別れたという話をよく聞く。
国内でも別れ話が多いのに、国外だぞ?
無理だろ…。
好きなバスケに没頭したら、きっと私のことなんか忘れる。
忘れるだけならまだいい。
向こうで好きな女ができたら?
冗談キツイよ。
振り子のように不安が揺れる
あぁ、マジでシャレになんない。