第77章 指先から染み込む熱情
誰もいない図書室。
それもそうだ。
今は授業中なんだから。
今日は雨が降ってるから、屋上ではさぼれない。
だから図書室。
雨の音が、窓を通して鼓膜を揺らす。
心地いい。
久々に心が安らぐ。
なんだかとても眠くなってきた。
どれくらい眠っていた?
まだおぼろげだが意識が戻る。
でも体はまで眠っていたいと動かない。
あれ…?
誰かいる…?
頭をなでられている。
たまにきれいない指先が、頬に触れる。
その指を、私はよく知ってる。
「わりぃ…。」
どうして謝るの?
「守ってやれなくて…、わりぃ。」
ちゃんと守ってもらってるよ。
だから、謝らなくていいよ。
指先から染み込む熱情
このまっすぐな優しさがあれば、私は大丈夫。