第61章 逢いたいと願う夜
「おい。なにボーっとしてる。」
「んあ?」
「この天才に見惚れたか?」
「んなわけねーだろ。」
私よりも早く、洋平がつっこんだ。
インターハイ前の個人合宿。
流川たちはなにしてるかなー…。
「む。よーへー。」
「がおまえに惚れるわけないだろう?ほら、おまえはボールだけ見とけ。」
日が沈んでずいぶんたつ時間の体育館。
もう空には星が瞬いてる。
「こら。」
「いて!」
びしっとデコピンが、私のおでこにクリーンヒットした。
「洋平…。」
「ボーっとしすぎだ。……そんなに流川が恋しいか?」
にやりと口の端が上がった。
「んなっ!!」
「ま、あと少しの我慢だ。耐えろよ。」
「うるせー!!!」
逢いたいと願う夜
この星を、流川も観てますか?……たぶん見てねーな。