第52章 静謐の中で
澄み切った青空。
汗ばむ陽気。
インターハイ予選が終わって少したった。
体育館ではインターハイに向けての猛特訓が始まっていた。
「こんなに暑いのに、よく眠れるな…。」
屋上の貯水タンクの裏側。
寝ていてもばれないこの場所は、流川のベストプレイスだ。
大きなタンクのおかげで日陰にはなっているが、暑いことには変わりない。
それでもぐっすりと寝ている流川の隣に、静かに腰を下ろす。
遠くで蝉の声が聞こえる。
誰もいない屋上はとても静かで、ゆっくり、ゆっくりと時間が流れている。
その中で私は、ただ飽きることなく流川の顔を眺める。
ニキビ一つないキレイな顔。
前にもこうして見つめていたら「見すぎ。」って言われったけ…。
見すぎと思われても、見飽きる事のない彼の顔。
あぁ、やっぱり好きだな…。
静謐の中で
「おめー、見すぎ…。」
「あ、おはよう。」