第36章 本当はずっと怖かった
対陵南戦。
この勝負に勝ったら、オレは一つの野望を口にすることを決めていた。
アメリカでバスケをしたい。
アメリカはバスケの本場だから。
そこで自分の腕を磨きたかった。
ある意味、この陵南戦がオレのモチベーション。
この試合に勝ったら、アメリカでもやっていける。
でも本当は、怖かったんだ。
もし負けたら、オレのバスケ人生が否定されるような気がする。
「よぉ、流川。」
「…。」
「なんだよ、思いつめた顔して。柄にもなく緊張してんのか?」
「……明日の陵南戦…。ぜってー、負けられねー。」
「…そんなに気張ってると、勝てるもんも勝てねーぞ。いつものおまえで良いんだよ。だって、いつものおまえは強いんだから。」
とびきりの笑顔で、言いきった。
オレは何を怖がってたんだ。
こいつが笑って、オレの強さを信じてくれてる。
それだけでどんな相手にも勝てる気がする。
怖いと思う、弱いオレ自身にも。
本当はずっと怖かった
でも、がオレの強さを認めてくれるから。