第34章 今だけはと何度もくりかえし
汗ばむ陽気の屋上。
どうしてこんなところで寝られるのかと、いつも思う。
しかもこんなに無防備に。
女としての自覚があるのか?
「おーい、。」
声をかけても反応なし。
こりゃ、マジで熟睡だな。
「……おまえ、こんなんじゃ悪いオオカミに喰われっぞ?」
夏の風がオレンジの髪を揺らす。
時間にしたら、ほんの5分くらいだろう。
でもオレにはとても長い時間に感じた。
「むー…。」
「やっと起きたか?」
「よーへー?おあよー。」
「まだ起きてねぇな?」
「うぃ~…。」
幼馴染のオレだけに見せる甘え。
胡坐をかくオレの膝の上に、頭を乗せる。
「おい。普通反対だろう?」
「これでいーのだー。」
「よかねぇだろ。」
にへらと緩むの顔。
そしてまた夢の世界へと旅立つ。
もう少し。
もう少しだけ、このままでもいいよな…?
今だけはと何度もくりかえし
こいつが、あいつの隣に立つまでは。