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オレンジ色の恋模様<流川楓>

第33章 うるさいくらい高鳴る鼓動




「あ、雨…。」


誰もいない校舎には、私と流川の二人だけ。


着替えは流川の方がいつも早く、校門で待たせている。
でも今日は違った。


下駄箱のところで、ボーっと立っている大きなシルエット。
そのシルエットに並んでみれば、どうして外に出ないかが分かった。


「この土砂降りじゃ、自転車は無理ね…。」
「む…。」
「傘は?」
「ない。」
「だよねー。」


ごそごそとカバンをあさる。


「ん。あったよ。」


夜から雨と天気予報士が言っていたので、忍ばせておいたものが役に立つ。


「帰ろうか。」
「おう。」


折りたたみ傘を広げて帰ろうと促す。
開ききったのを見て、流川は紳士的な発言をした。


「持つ。」
「あ、でも…。」
「オレの方がデカイ。」
「そっか。じゃー、よろしく。」


折りたたみにして大きめだけど、やっぱり二人で入るのは窮屈だ。
濡れないようにすれば、いつもの1on1の時より体が近付く。


やばい。
ドキドキしてきた。


暗い道でよかった。
きっと私の顔は赤い。


これ以上、大きく高鳴るな。
流川に聞かれそうで、なんだか恥ずかしい。
























うるさいくらい高鳴る鼓動
もういっそ、心臓なんて止まってしまえ。




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