• テキストサイズ

オレンジ色の恋模様<流川楓>

第28章 見つめるだけなら自由なのに




めずらしく、オレは授業中起きていた。
隣で寝ているこいつを見たからだ。


今朝の朝練にあくびをしながらやってきた。
なんでも、あのどあほうの練習メニューを作っていたら貫徹したらしい。
あんなヤツのために、無理すんな。


こいつはいつも人が寝ていると寝顔を見てくる。
あんまりにも見てくるから、その視線で起きるぐらいだ。


だから今日は、オレが見てやろうと思った。


いつもは眠くなる先公の教え。
でも今日は不思議と眠くならなかった。





よく見ると、うっすらと化粧をしてる。
本当に薄くだけど。


まつ毛は長い。
鼻筋もきれいだ。


いつか「流川はニキビなしでうらやましいな。」と言っていたが
コイツだってニキビ知らずだ。


あのどあほうに対抗してるのか知らねぇが、オレンジに近い髪の毛は、夏の風にのっている。


そー言えば、髪、切ったのか…?
背中を隠すほど長かった髪は、いつの間にか脇あたりで揺れている。


まぁ、どっちでもいいけど。


教室には、先公の声だけが響いていて
あとは窓の外で蝉が鳴いているだけ。


耳を澄ませば、の吐息が聞こえてくる。
スゥスゥと気持ちよさそうだ。


今だけはオレだけの。
こいつが目を覚ませば、またみんなのになる。
オレの視線が届かなくなる。























見つめるだけなら自由なのに
オレの視線は、いろんなヤツに阻まれて届かない。




/ 103ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp