第22章 抱きしめる腕の強さ
“廊下は走るな。”
その校則にこれも付け加えたい。
“階段も走るな。”
「流川ー!!」
部活の予定表を流川に渡そうと、流川を呼びとめた。
私は踊り場にいる。
流川は階段の下。
私の言葉に、流川が振り向いた。
私は流川の後にも予定表を配る義務がある。
だから急いでいたんだ。
だから、階段も一段飛ばしで駆け下りた。
それがいけなかった。
「うわっ!!」
「っ!!」
落ちるっ!!
落ちたはずなのに、想像していた痛みはやって来なかった。
「おい。」
半ばパニックになってる私に降りかかってきたのは
流川の声だった。
「気ぃつけろ。」
痛いわけない。
だって、流川に助けられたから。
流川に抱きとめられたから。
背中にまわされている、流川の腕に力強さを感じた。
抱きしめる腕の強さ
やっぱり、流川はオトコノコだったんだ…。