第21章 君がくれた一粒の飴
「おいっ!!」
「…なんだ?」
「なんだはこっちのセリフだ!どーした?そのチャリは…。」
「……こけた。」
ウソだ。
寝ながら運転してたら、車にぶつかった。
「こけただけじゃ、そんなにならねぇよ。」
ため息をつきながら、カバンを物色している。
なにをしてるんだ…?
「ほら。」
差し出されたのは薄荷キャンディー。
「どーせ、居眠り運転でもしてたんだろう?」
薄荷キャンディーを素直に受け取り口の中に放りこむと、は満足そうに帰って行った。
「じゃぁな。また明日。」という一言を残して。
「スースーする…。」
さっぱりしているくせに、いつまでも口の中に存在を残して消える。
それはまるで…。
君がくれた一粒の飴
それはまるで、おまえのようだ。