第13章 触れたいと願った瞬間から
なかなか、自分の思うようにいかない。
もともと話すのは苦手だ。
バスケでも、意思の疎通ができないときがある。
それでもいいと思った。
別に一人でもいい。
バスケがあれば、友達も彼女も必要ない。
自分がうまければ、チームメイトが弱くてもいい。
敵が強ければ、いればそれでいい。
でもあいつだけは違う。
あいつだけは、そばにいてほしいと思うし
キスしたいとも、抱きたいとも思う。
それは小さなきっかけだ。
ただパスを受けてみたい。
ただ触れてみたい。
それだけだ。
触れたいと願った瞬間から
たぶん、あいつが好きだったんだ。