第14章 片想いであることの利点
「ねぇ、洋平くん。」
「んー?」
隣には、晴子ちゃん。
流川に想いを寄せる、かわいい女の子だ。
「流川くんって、ちゃんのこと好きなのかな…。」
うーん…。鋭い…。
「さぁな…。なんで、そー思う?」
「だって、流川くん、すごく楽しそう。」
ギャラリーの下では、流川とが1on1をしている。
ここ毎日の日課だが、確かに流川は楽しそうだ。
好きな女と、マジで1on1ができるんだから
そりゃぁ、幸せだよな…。
「いいなぁ、ちゃんは…。」
「ん?」
「私はどんなに望んでも、流川くんの視界に入る事はないのに…。」
……視界に入っても色々悩むところがあると思うけどな…。
「ちゃんは名前で呼んでもらってるし、ちゃんもまんざらじゃなさそうだし…。」
あそこは、お互い気付いてないだけで
両思いだからな。
「でも、私が羨むのは間違ってるわよね。流川くんが選んだ人だもの。」
「…晴子ちゃんは、いい子だねぇ。」
「そんなことないわよぅ。それに洋平くんだって、いい人よ!」
「オレがぁ?」
「そうよ!…だって、ちゃんのこと好きでしょ?」
………まいったねぇ、こりゃぁ。
「好きな子が違う男の子といるのに、洋平くんはちゃんの事、ちゃんと見守っているんだもの。それって、すごいことだわ。」
「そーかねぇ。」
「絶対そうよぅ!」
ホント、鈍そうに見えて鋭いな。
今まで誰にもばれた事がない気持ち。
幼馴染として、あいつの隣にいる事を望んだのはオレ。
あいつがこの先、誰を好きになっても動じない自信がある。
オレはずっとあいつに片想いをしてる。
結婚しても、ガキができても、それはきっと変わらない。
一番良い場所で、あいつの成長を見届けられる。
良い時も悪い時も、オレがあいつを守ってやれる。
片想いであることの利点
そう。あいつの想いが実るまでは。