第12章 もうすでに手遅れ
「はぁ…。」
「ずいぶん重いため息だな。」
「よーへー。」
「その顔は流川がらみだな。」
手に入りそうで、入らない。
この微妙な関係に、ため息をつかずにはいられない。
「なーんであいつのこと好きになっちゃったんだか。」
言っちゃ悪いけど、もっと簡単に手に入る人もいるだろうに。
あんな難しい人間を好きになっちゃうなんて。
いっそ、この気持ちに気づかなければ。
気付いても隠していれば、こんなに苦しくなんかなかった。
くそ。
まったく、このやろー。
もうすでに手遅れ
それでもやっぱり、嫌いになんてなれない。