第97章 肩に寄りそう幸せ
左側の方に少し負担がかかる。
でもそれは、とても安心できる重さ。
2月の図書室。
日のあたる場所は、昼寝に最適。
「楓?眠ったの?」
結局、楓の留学はとんとん拍子に決まった。
やっぱり、監督直々にスカウトしたんだから、決まらないはずがない。
留学は4月。
向こうの高校は9月からだが、慣れるために4月から行く事になる。
2年間、現地の高校に行きながらバスケ三昧。
卒業したら、そのままプロの道まっしぐら。
まったく、楓の未来に私はいないのかと思うほど、約束された将来だ。
不安がない訳じゃない。
寂しくない訳じゃない。
それでも、私だって夢を見つけたから、頑張るつもりだ。
楓一人を頑張らせる訳にはいかない。
でも、今だけは……。
肩に寄りそう幸せ
今だけは、もう少しだけ楓に甘えていたいんだ。