第18章 なんとかリウム【万里】 甘夢
「万里、もういいよ」
「は?」
「分かったでしょ?何しても変わんないんだよ、この世界は。このままだと万里まで標的になっちゃうよ」
「んだよ、それ……」
「もういいから……これ以上私を失望させないで」
俺は舌打ちをしていづみの横を通り過ぎる。それをみていじめグループが後ろでクスクス笑っていた。正直胸糞悪い。俺らは一限を終え、二限を迎えようとしていた。
隣の席のいづみの姿が見えなかった。
ふと窓を覗くといづみの姿が見える。いじめグループに暴力を振るわされている姿だった。ガタッと俺は席を立つが、今朝のもういいが頭に引っかかる。そんな葛藤に駆られていると二限のチャイムが鳴った。少ししてからいじめグループは戻ってきた。いづみの姿は見えない。正直この授業は自習に近いくらい授業内容がなかった。
いじめグループが斜め前ぐらいでいじめグループがスマートフォンをみてクスクス笑っている。
その画面に映し出されていたのは紛れもなく男4人くらいに囲まれたいづみの姿だった。その表情は怯えていた。男たちの姿は制服ではなく私服だった。気がつけば俺は授業中にも構わずスマートフォンを持ってるやつの胸ぐらを掴んだ。そのままそいつが宙に浮いた。
「おまえ、何してんだよ!!!」
教室に俺の怒声が飛ぶ。先生も俺を止めに間に入るも構わず喋り出す。
「答えろよ、どこだここ」
「……いったいな、何?あいつの王子様気取りが」
「うっせーな、答えろ!」
「どこだっていいじゃんー。ほら、見える?この画面、もう服ビリビリだよー」
パッと手を離すとそいつは尻もちをついた。
「痛いな、ビッチが仕事してるだけでしょ」
「おまえがやってんのはただの妬みをぶつけてるだけだろ」
そいつは落ちたスマートフォンを拾い、俺に画面をまた見せて来て、俺に聞こえるかどうかの音量で音量を上げた。
「やだ!やめて!どっか行けって行ってんの!近づいて来ないでよ」
「こりゃ、また美人さんじゃねーか」
「へっへっ、今から楽しいことしよーぜ、お姉さんよ」
そのまま男がいづみの髪の毛を掴みあげる。俺は一体何を見せられているんだろうか。ドラマ等で映されているような光景だった。
「嫌だって言ってんでしょ!!」
ドンといづみは男の胸ぐらを押す。