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夢の世界へ

第18章 なんとかリウム【万里】 甘夢



確かに最近サボってたからよく知らなかった。
別に出席日数が関係ないものは満点近く取れば余裕で成績くれるしな。
前の席の奴が丁寧に教えてくれる。

「ってかさ、立花さん今日すっごく可愛くない?」

俺たちの机の後ろではザワザワと男子達が騒いでいた。何か俺の心もザワザワする。

「そう、ですか?」

いづみは自分のスカート丈を気にする。
いや、まだ気にしてんのかよ。

「しかも摂津と一緒に登校って……まさか」

そいつはベラベラと喋ってくる。

「何でもねーよ」

「そういう所が何か怪しいなぁー」

俺はそいつにガンを飛ばす。いづみは既にそいつのことは無視をして支度をし始める。
ガンを飛ばせばそいつは黙った。
俺らは珍しく平和に一日を過ごしていた。
いじめていたグループも今日は近づいてこない。終礼が鳴る。
いづみの鞄をひったくる。

「あー、一日長かったな。寄り道してこーぜ」

「ちょ、私の鞄返して」

ドアの方ではいじめっ子グループがヒソヒソと言っていた。1部しか聞こえないけど、いづみの妬みみたいなもんだった。結局虐めるやつって言うのはそのくらいの器なんだ。
俺は無視してサッサとドアを出ていく。鞄を追いかけ、いづみも俺の後ろを歩いてくる。

「ね、鞄返してってば」

「持ってやるって言ってんだよ。今日はあいつら何も言ってこなかったな」

「言われてないし、……そうだね」

「何だよ、いじめられたいのかよ」

「そういう訳じゃなくて……」

「は?どういうことだよ」

「……ううん。なんでもないよ、それより寄り道してくんでしょ」

その時は全然分からなかったが翌日登校することですぐ分かった。どうやら女の嫉妬やいじめっていうのは男よりめんどくさいものなんだと理解した。男なら殴り合いとか喧嘩にすぐ発展するんだろうけど、女って奴は……

「あー……スリッパ借りてくるかな」

「いや、おまえこれ立派ないじめだろ」

「だから、元々いじめられてたじゃん」

「……」

いづみの下駄箱には生ゴミが山ほど詰め込まれていた。そして、ビッチとか売女とか書いてある。本来下駄箱に入ってある上履きはぐちゃぐちゃでとんでもない臭いを放っていた。
いづみはあまり動じても居ないが表情はぐしゃと潰れて怒りに満ち溢れていた。

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