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夢の世界へ

第20章 おはようの笑顔【臣】 微裏




ゆさゆさと揺さぶられる身体。
そんな律動はいつまでも続かず、愛しの人に声をかける。

「おーい、起きろ」

「んんっ……あと5分……」

「そんなこと言ってと先にキッチン行っちまうぞ」

「うぅ……臣くん酷い……置いてくんだ」

「ははっ、だから起きろって」

「その割には手離してくれないし、そんな寝不足にさせたのは昨日誰がどう……」

「はいはい、ストップストップ」

臣くんは私の口を塞ぐ。起きろと言う割には臣くんは私を抱き寄せている。なにも着ていない臣くんの胸板にグリグリと頭を擦り付ける。臣くんもやや照れながらこっちを見ていた。

「……ほら、5分経ったぞいづみ」

「うーん。体感時間は5秒」

「とりあえずそろそろ起きねぇと間に合わなくなるぞ」

顔を上げると臣くんの顔が一瞬ビクッとなった。首を傾げていると臣くんは頬を赤くさせて目をあさっての方向に逸らした。

「……いづみ、とりあえず服着るか」

「んっ……?」

我に返って自分の胸の方を見ると、何も着ていなかった。きっと見下ろしてた臣くんは私の胸の先っちょまで見えてたんだろう。そして少し経つとムクムクと下腹部に当たる。

「……臣くん」

「そりゃ、いづみの無防備姿を見たらな」

「えっち……」

私は臣くんに背を向けてベッドの反対側に腰をかける。自分の服を引き出しから引っ張り出す。服を着ようと思ったらパシっと手を取られた。

「朝起きたキスくらいしてくれ」

耳元で囁くから、ビクッと身体が跳ねる。そのまま臣くんは背中を指でスーッとなぞる。

「んっ……ぁ」

そのまま顎を持たれて臣くんの方に強制的に向かせられる。そのまま口は臣くんの口で塞がれる。昨晩はたくさん愛し合った。臣くんは結構噛むくせがあって、背中はきっと歯型とキスマークだらけなんだろうな。私の腕も歯型残ってるし。

「さ、着替えてご飯作りにいくか」

「……んむぅ」

「そんな可愛い顔すんな、止められなくなっちまうだろ」

「……ッッッ///////」

ぼっと顔が火照るのが分かった。私は急いで下着に手を通して、袖だけレースになっている服に身を包む。

「……また、今夜。な」

臣くんの目の奥は獲物を捕らえたような、ギラッとした目をしていた。

……朝から心臓に悪い。


2020.9.5 執筆完了
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