第18章 なんとかリウム【万里】 甘夢
「まさか、今からっすか」
「それ以外に何が?」
「うげ……とりあえずシャワー浴びさして下さい」
「なるはやで」
「へい」
--------
シャワー行く前に結局オッサンに捕まり、くどくどと説教を受ける。何なら普通に殴ってきやがった。いてぇ。監督ちゃんが止めてくれなかったら俺死んでたかもな。
そんなこと思いながらさっさとシャワーを済ます。
「でも、こうやってちゃんと怒ってくれる人が居て、止めてくれる人が居て、……それって幸せなことなんだろうな」
「何、万里センチ入ってんの?キモイんだけど」
俺が思ってたことはいつの間にか声に出てたらしい。画面にはゲームオーバーの文字。くっそ。
「で、結局何があったの」
「それ、至さんに言って大丈夫なやつっすか」
「生意気、じゃあ今から左京さんの所に行ってくるわ」
「言いますから、言いますからー!」
至さんの勝ち誇った顔がムカつく。俺はとりあえず昨日の夜からあったことを全て話す。よく分からないけど至さんはそれなりに真剣に聞いてくれてた。まぁ、ゲーム操作しながらだったけど。
「それ新手のギャルゲー?」
「俺が聞きたいっすわ」
「で、結局どうなの?お前の気持ち的に」
「本気でもないし、遊びでもない」
「へぇー。それの割には楽しそうじゃね?」
「え……」
「うっわ、気づいてなかったのかよ」
そう言われてみれば、その出会いも再会した話も何となくワクワクするというか、笑って話していた自分に気づく。
至さんは面白くなさそうな顔をして、ゲームでボコってくる。そして、またゲームオーバーの文字。俺はコントローラーを置いた。
「楽しい……ん、んなわけねーだろ!」
「逆ギレするところが怪しい」
「もうやめだやめ!」
「顔真っ赤だけど」
「なっ……!」
「嘘だけど」
「至さん……」
「ガキ」
「じゃあそろそろ俺、寝ますわ」
「万里あと10戦」
「至さんもさっさと寝て下さいよ」
「ちぇ」
俺はコントローラーを置いて、至さんに適当に挨拶をして、適当に部屋を出る。
楽しい……とは。