第18章 なんとかリウム【万里】 甘夢
「そうなの?あれ、JKの鉄板って聞いたけど」
「何年前の話だよ」
「そっか……」
「……そんな格好しなくても、昨晩はいい格好してたじゃねぇか」
「あぁ、あれね。ガールズバーで働いてるの」
「はぁ!?」
「え……なによ」
「いや、悪いこと言わねぇからやめろ」
「どうして?」
「危ねぇ目にあうだろ」
「心配してくれてんだ」
「うっせ……」
「家じゃほったかされて、学校では苛められて、つまんないじゃない。おまけに面白いことないし」
「……あー」
昨日会った時からどこか惹かれると思ったら、ちょっと前の俺みたいじゃねぇか。
「明日から違う格好で来いよ」
「なんで」
「その格好だっせーから」
「……ださいか……」
「それで俺が迎えにいってやんよ」
「……は?」
「家までな、楽しいこと教えてやる」
「やだよ、恥ずかしい」
「はぁ!?」
「男性の隣に歩くのって緊張するじゃない」
「あんなことしててそんなこと言うかよ」
「あれは……仕事でしょ」
「バイトの間違いだろ。もう店長に辞めるって伝えろよ」
「どうして」
「だから、危ないだろ」
「……分かった。じゃあ楽しいことちゃんと教えてね」
俺はいづみの安堵したような、なんとも言えない表情をみて微笑んでしまった。ポケットから臣から貰ったおにぎりをポイッといづみに渡す。
「わわっ……」
「まだ飯食ってないだろ」
「ぇ?う、うん」
「それ、やるよ。俺が作った訳じゃねぇけど」
「……万里の分は?」
「ちゃんとあるわ、俺の分も」
「良かった」
それから俺らは午後まで全部授業をサボった。最後の授業やってるときに校門を出て、いづみとLIMEを交換して、家まで送って、俺は寮に帰る。
ドカッとリビングに座ってダラっとする。
気がつけば、部屋から出てきた至さんに捕まった。
「万里、俺にくらい返信しろし」
「至さん、昨日はあざーした」
「何してたの?」
「……んー、色々と」
「後で左京さんと監督さんに謝ったほうが良さそう、左京さんは特に。殺される勢いだった」
「……うげ」
「ということで、色々誤魔化してやったんだから今日はよろ」