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夢の世界へ

第18章 なんとかリウム【万里】 甘夢


こんなだせぇ奴は正直みたことが無いはずだったが、何かどこかで見覚えがあった。
ドカッとその女に他の女が蹴りを入れる。
周りの人もその行為に引いて、その周りには人だかりという人だかりは出来ていなかった。
俺は隣に居るやつに、アイツらは誰かと聞いたら女のいじめられっ子グループらしい。俺はほとんど知らなかったが、ココ最近こんなことが頻繁に起きているらしい。ちなみに苛められている女はいづみと言うらしい。
いづみ?どこかで聞き覚えが、あれ。
俺は気がつくとそのグループに近づいていた。一瞬隣で教えてくれたやつが止めてくれるも、俺は構わずどんどん近づいていき、殴ったり、蹴っている奴の身体を片手で抑えた。
その行為も周りではひぃとかきゃあとか叫び声が聞こえた。女に手をあげるのも劇団に迷惑かけちまうから、その女の手を引くだけにした。
それだけだけど、その女は尻もちをついて転んだ。

よっわ……

「いったい!何するのよ!!暴力反対よ!」

「どっちが暴力なんだよ」

俺はそいつらを睨む。
いづみは俺の顔をみて口を開けては閉じては居なかった。

「覚えておきなさいよ!」

女たちは廊下を逃げて行った。
誰が呼んだか知らないけど遠い方から先生の怒鳴る声が聞こえた。途方に暮れているいづみの手を握り、屋上まで逃げ切る。鍵を閉め、更に上まで登った。
少し経ってから下でバタバタと声が聞こえるも、諦めたのか静かになった。
この屋上の上の中は他の教室からは見えないため、サボるには都合が良かった。
いづみの眼鏡は割れていた。きっとさっきの蹴りで割れてしまったのだろう。

「いづみ、だよな」

「……この高校だったんだ」

「まさか同じ高校だとはな」

「普通に社会人だと思った」

「なんであんなことしてたんだ?」

「反発だよ。ここにいると苛められて」

「……」

昨晩はこういうことをするのは初めてではない、とは言っていたが、明らかに慣れている様子もなかった。朝は出会えるのを望んでいたが、呆気ない出会いに俺は少し落胆していた。
どうせだったら、夜の街でまた会えたら良かったのに……。

「最近、転校してきたの。でも、苛められた」

「いや、あんな格好してたらな」

「あの格好のどこがいけないの……」

「え、いや……だっせーだろ」

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