第13章 ハッピーバースデー【一成】 甘夢
一成は抱きしめていた手を緩めて、スルッといづみがキッチンへと移動する。
カチャカチャと準備するいづみに一成は声をかける。
「いづみちゃん、この装飾撮ってもいいー?」
「うん!大丈夫ー」
大きいお皿にサーモンが入ったカルパッチョとハンバーグが入ったラザニアもどきを持ってきた。
「おぉー!凄い!これ、いづみちゃんの手作り?」
「うん、作ってみた。お口に合うか分からないけど」
「絶対美味しいに決まってんジャーン」
2人は床に座り手を合わせた。
「「いただきます」」
「ちょー!うめぇ!!!カズナリミヨシ、幸せ!!」
「ふふっ、良かった」
たわいも無い話をしながら、ご飯を食べ終える。2人は食べ終わったお皿をシンクに持っていく。いづみからまた紙皿を渡される。
「ん?」
「うん?」
「紙皿?」
「うん、紙皿。ケーキまだでしょ??誕生日と言えばケーキじゃない?」
冷蔵庫から取り出されたのは2人で食べきるくらいの量のホールケーキだった。
「ケーキも作ってみたの。ロウソク立てて、お祝いしましょ」
フォークも持っていき、また机を囲み床に座る。ロウソクを立てて、火を灯す。
「ハッピーバースデー、かずくん、ハッピーバースデー、かずくん、ハッピーバースデー〜♪」
いづみは歌い出す。
「めっちゃ俺ばっか笑」
「さ、ロウソクの火消して〜」
フゥと一成が息を吹くとあっという間に火が消えてしまう。
「(確かこの辺に……)」
ガサゴソとベッドの下から漁り、いづみは一成にプレゼントを渡す。
「(ぁ、あった)はい!プレゼント!!」
「俺に!?サンキュー!開けて良い?」
「うん!」
一成がプレゼントのリボンを解き、開けると中には立つペンケースが入っていた。
「ぉ!これめっちゃ便利なやつやん!」
「この間デートの時に見てたでしょ??」
「サンキュー!めっちゃ嬉しい!!」