第13章 ハッピーバースデー【一成】 甘夢
「(よし、掃除OK、飾り付けOK、おめかしOK、ケーキOK、料理の準備OK、プレゼントOK……あとはあとは)」
ピンポーン
「はーい!」
「いづみちゃん、来たよー」
「(うっ、思ったより早かった……心の準備がOKじゃない……)」
緊張した顔を残しながらも笑顔を取り繕い、ガチャとドアを開ける。
そこには一成の姿があった。
「いらっしゃいー」
「ん?何か作ってたん?」
「えっ……な、なんで?」
ふと自分の姿を見返すとエプロンを着けたままだった。
「(全然おめかしOKじゃないじゃーーーん泣/////)」
「それにいい匂いするし」
「と、とりあえずど、、どうぞ」
動揺を隠しきれないいづみ。
一成はお邪魔しますと言って靴を脱ぐ。
いそいそといづみはエプロンを脱ごうとすると後ろから一成に抱きしめられる。
「キャッ」
「えへへー、いづみちゃんいい匂いするー」
「ビックリしたー///」
「めんご、めんごー。久しぶりに会うっしょ、何か急に抱きしめたくなっちゃって」
「もう///ぁ、あの……(完全にポケットに入れたクラッカー鳴らしそびれた……)」
抱きつかれたまま、ずるずるとリビングに入る。
「お誕生日、おめでとう、かずくん」
「へっ!?あー!そっか!今日オレっちの誕生日だったかー!」
「そう、でしょ……あれ、違う?(何か不安になってきた)」
「もしかしてこの装飾も、このエプロンも、俺の為?」
「う、うん///迷惑、だったかな……」
「めちゃんこ嬉しい!!!」
そして一成はいづみをまた抱きしめる。
一成は抱きしめながら部屋の装飾を見渡す。
簡単ではあるがいつもの部屋に比べて、ハッピーバースデーと英語表記で書かれたガーランドや机には可愛い紙皿が置かれていた。
「いづみちゃん、俺感動して泣きそうー!!」
「喜んで貰えて良かった//ぁ、今ご飯用意するね(クラッカーは不発だったな……)」