第13章 ハッピーバースデー【一成】 甘夢
一成はペンケースを眺めてから、大事そうに自分のカバンにしまう。ケーキも2人で食べ、キッチンに行き、片付ける。全部終えて、いづみはエプロンを外す。
一成はジッとその姿を見ている。
「ん?」
「いや、いづみちゃんと結婚したらこんな姿毎日見られるんだなって思って」
「けっこ!?////」
「その照れ姿も、少し不器用だけど、思いやってくれる優しさも、俺の為だと思ったら幸せだなぁって」
そう言って再び一成はいづみを抱きしめる。
そして耳元に顔を近づけ囁く。
「わがままなの、分かってるんだけど。もう1つプレゼントが欲しい」
耳元に息がかかるのかいづみは小刻みにフルフルと震えていた。そして、抱きしめるのとキスは初めてではないものの、耳元で甘く囁くのは初めてだった為、いづみの顔は真っ赤だった。
「いづみをちょうだい」
呼び捨てに更にいづみの顔は真っ赤になり、体温は段々と熱くなっていく。
「……」
「ん?」
「いい、です……よ」
そのいづみの姿を見て耳元で呟く。
「いづみ、好きだよ」
2020.8.2 執筆完了