第11章 最初のキス【至】 甘夢
どうやって渡そうかな。
昨日から色々考えてたけど、結局は成り行きでいっかってなった。
いづみのマンションまでたどり着く。オートロックで、マンションの3階。エレベーターも完備。家賃も高そうだと思うがこれがそんなに高くもないらしい。知り合い経由だから普通の2-3万は安いんだと、ちょっと前に聞いていた。人生スーパーウルトラモードってどっかの誰かさんが言ってるくらいだし、可愛いも得なんだろうな。
ガチャと玄関を開け靴を脱ぐ。
「先入ってて下さいー。準備してくるのでちょっと待ってて下さいねー」
はいはいーと俺は適当に返事をして、いづみは寝室に行くのを見送る。コート等脱いで部屋着に着替えて出てくると言うのがいつもの流れ。何度この寝室に忍び込みたいと思ったことか。恋人が来ていて、ドア越しだが、同じフロア内で服を着替えるところを想像すると男なら……と本当に思う。そういう無防備で無意識な所も好きなんだけど。
俺もいつも通りリビングに行き、コート等脱ぎ、ワイシャツのボタンを外して、少し崩す。
ガチャと扉が開き、いづみがキッチンへと入りお茶を持ってくる。
「部屋は寒いねー」
ピッとエアコンのスイッチを付け、さらに電気絨毯を入れて暖房を入れる。いづみは寒がりだ。俺はいづみの姿は見ず、コンセントに充電器を差す。
ふとモコモコしたものが目元に通った。
「!?」
俺は振り返る。
いづみは茶色いモコモコとした部屋着を着ていた。……エロゲの中だけだと思ってたわ。こんなの着てくる彼女。
「ん??ぁ、昨日着てたやつあのあと汚しちゃったんです。ごめんなさい、こんなのしか無くて」
いやいや、めちゃくちゃ可愛い。エロゲでは何も思わなかったけど、リアルだとキュンとするものなのか。
「ぁ……いや、可愛いよ」
「茅ヶ崎さん、本当は引いてますでしょ。こんなのエロゲかギャルゲの中だけだって」
「なんで分かんの」
「そういう顔してましたから」
クルッと横むくとお尻の辺りに丸い物が付いていた。
「これ、クマ……?」
「そうです!かの有名なデデニーのキャラクターの部屋着なんです」
フリフリといづみはお尻を振って、尻尾を見せつけてくる上に、一周回って部屋着を見せてくる。
……エロくね?