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夢の世界へ

第9章 想ってる【万里】 甘夢



「ところで、いづみはどうして1人であんな重たい荷物を運んでたんだ?」

「ん?1人で運べるかなって思って」

「万里呼べば良かったんじゃないか」

「万里忙しいもん、このくらい呼んだら迷惑だよ」

「俺っちだったら彼女が困ってる時とか、1人じゃ解決出来ないことがあったら呼んで貰えるほうが頼られてる感じするっすよー」

「それは太一くんだからねー」

「いやいや、男はその方が喜ぶと思うぞ」

「えー、臣くんまで」

「最近万ちゃんと会ってないみたいだし、LIMEが来ないって万ちゃん悩んでたっすよ」
「そうなの?何か意外」
彼女が出来たこと等第三者には話さないことを、至経由で寮全体にバレてしまって、劇団員はいづみのことを全員知っている。特に監督はいづみを可愛がっていた。寮にも何度か遊びに来ていて、それなりに劇団員とは仲が良い。
そのカミングアウトの前に、そもそもスマホをみて一喜一憂している万里をみて、大人組は薄々と気づいてた。
「せっかくだから組み立ては万里と一緒にやったらどうだ?」
「ここまで運んで貰ったんだもの!組み立てはそんなにしないで組み立てられるよ!」

「うーん。……俺っち何だか万ちゃんの気持ちが今ならわかる気がするっす」

「えぇ、だって万里が頑張ってる劇団に万ちゃんのファンクラブあるでしょ?そのファンの子達が私と居るところみたら悲しんじゃうし、万里が頑張ってるのを邪魔しちゃうもの。それに、万里私がこの家に住んでること知らないし」

「「えっっ」」
「万里はいつも近くまで送ってくれるんだけどね。迷惑だと思って近くまでで良いよって言うから」

「彼氏より先に他の男を家に入れるって……」

「俺っちだったら泣いちゃうっす」

「俺も怒るかな」

「え、どうして?」

「いやいや、逆を考えてみろ。仮に万里の家に彼女じゃない女が出入りしてたら嫌だろ?」

「まぁ……嫌だけどさ」

「だろ。それに女の家に男を招くと酷いな目に合う可能性だってある」

「臣くん達も酷いことするの?」

「いやいや、万ちゃんの彼女にそんなことしないっす!!」
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