第7章 初めての...【太一】 甘裏
ウインクしながら東は太一をみる。
「どうしてそう言えるんすか……どうしたら東さんみたいに大人の余裕が出るんすか!教えてください東さん!!」
太一が東の腕を掴む。そして、また泣きそうな顔になる。
「痛い痛い、落ち着いてワンコくん。ワンコくんとワンコくんの彼女ならきっとラブラブになれるよ。多分彼女さんだって同じくらい心を痛めてると思うよ。そのシロップもボクからのおまじない」
そして、ピリリリッと太一の携帯電話が鳴る。
その着信はいづみからで、太一が慌てて電話を出る。
「いづみちゃん!」
電話に出てその表情はクルクルと変わって、やがて赤面している。1人で10面相している太一をみて万里と東は微笑んでいた。
ふと太一が小瓶を見て、ぎゅっと意を決したように返事をする。
「どうだったんだ?いづみからの電話は」
「あ、あの……俺っちと今日ホテル行かないかって誘われたっす」
「よかったね、ワンコくん」
「東さんのおかげっす!俺!今から準備してくるっす!」
そして、ルンルンと2人にお礼を言う。
「太一、それホテルの中に入ったらいづみと半分こにして中身使うんだぞー!」
「万ちゃんー分かったっすー」
「事故んなよー」
そうして、幸せいっぱいの笑顔で手を大きく振りながら瓶を大切そうに持ち太一は去っていった。
「東さん、あんなのどこで手に入れるんすか」
「ふふっ。秘密」
「後、ラブラブになれるって断言するの珍しいっすね」
「さっき、彼女さんを街で見掛けてね。この間のこと友達に相談してたんだよ。その彼女さんの顔と来たら蒼白になったりして面白くてね。でもずっとワンコくんのこと考えてるみたいだったから」
「今日は最後までいけるといいっすね」
「そうだね。万里もいる?あれ」
「まだあるんすか。と言うか、やっぱりあれは……」
「秘密」
はぁと万里はため息をつき、東に挨拶すると自室へと戻っていった。東もゆっくりとリビングへと向かっていった。
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そして、太一といづみはホテルの中まで来ていた。
太一はコンビニでいづみの好きなジュースを買っていた。
入ったはいいものの、2人とも黙りこくっていた。
「「あ、あの!!あ……やっぱりどうぞ」」