第7章 初めての...【太一】 甘裏
愛しの彼女から、歪んだ表情、恐怖に満ちた顔、無理と言われた発言、傷つけたくないと思う自分の感情、痛いと言われるがどのくらいの痛さなのか分からない太一は挿入した自身をいづみの中から取り出す。ごめんと言い、いづみに布団を被せてぎゅっと抱きしめる。いづみもごめんねって言葉を太一に投げかける。そして、その日はそのままいづみが落ち着いたことが分かると、服に着替えていづみを送った。その時にいづみが言ってたようだけど、太一は何て返したか、なんの話しをしたか覚えてなかった。
ショックと、悲しみと切なさと……まぁ、何とも言えない負の感情に囚われていた。
「あぁ、だからリビングに来ないでそのまま部屋に帰ったのか」
「だって、無理っすよ!俺っちあんなにみんなにたくさんのアドバイス貰ったのに……」
「色んな経験が人それぞれだし、女も人それぞれだからな。あんなかでどのくらいの人が本当に初めての女と初めてをしたかもよく分からないしな」
万ちゃん……と太一はまた目を涙ぐませていたが、その涙を自分の腕で必死に拭っていた。
「良く、頑張ったな」
万里は太一の頭をポンポンと叩いた。
そしてうーん。と考えるポーズをした。自分の経験ではどう考えても、疎遠になるか、別れるか、関係が深まらないかのどれかしか思いつかなかったからだ。
そしてふっと物陰から東が出てくる。2人はぎょっと驚いている。
「ふふっ。ごめんね。話聞こえちゃった」
自身の唇に手を当てながら2人に微笑みかけてくる。
その笑顔は美しいも、何だか不気味にも感じられた。
「ワンコくん、今回頑張ったんだね。そんなボクからプレゼントだよ」
はいっとポケットから小瓶を差し出し、太一に渡す。
太一は何の疑いもなく手を出して、受け取る。
万里はその小瓶みてピクっと唇がつりあがる。
「東さん、何すかこれ?」
受け取った瓶を太陽に透かすとキラキラと光っていた。
小瓶はガラスで出来ており、美しいような入れ物であった。
「んー。特製のシロップ、かな」
ジュースに混ぜると美味しいよと付け足す。
太一はそれを聞いて甘そう!と言っているが、万里は全てを察したかのように黙る。
「せっかくだから、彼女と一緒にホテルで飲む時使いなよ」
「でも俺っち彼女とこの間……」
「大丈夫、絶対上手くいくよ」
