第7章 初めての...【太一】 甘裏
また沈黙が続いた。
やがて太一はジュースを買ってきたことを思い出し、部屋のショーケースからグラスを持ってくる。
「ジュース、買ってきたんだ」
「あ、ありがとう」
トクトクとグラスにジュースを半分こする。
「寮の人にね、特製のシロップ貰ったんだ。ジュースにかけると美味しいんだって。いづみちゃんと今度会う時に使おうと思ったんだけど、……今日、会えて良かった」
瓶の蓋を開けて、瓶の中身をジュースの上に半分こしていく。
2人でゴクッと飲む。
ほんのりと甘みがプラスされているも特別と言って良いほど味が変わるわけでもなかった。
「あれ……あまり味が変わらないんだね。間違えちゃったんかな」
「本当だね。でも貰えてそれを分けてくれてありがとう」
また少し沈黙が続く。
「……太ちゃん、この間はごめんね」
「ど、どうして謝るんすか……」
「元々聞いてたよりも痛かったし、初めてのことで私もすっごく緊張してたんだ。その後の太ちゃん、何か上の空だったし……今日友達に相談したの」
「え……相談したんすか」
「そしたら、痛いのは当たり前だよって。それよりそんな途中で止めてくれた彼氏に感謝しなきゃだよって教えてくれたの。……そ、その、男の子ってそういう時止めてくれない、もんなんでしょ////本当に、好きであったから止めてくれたんだって教えて貰って。わ、私……太ちゃん傷つけちゃったんだと思って……謝りたくて……うっ……」
いづみはボロボロと泣いていた。
太一は傍に寄るとぎゅっといづみを抱き寄せた。
何だか、いづみが何時もより甘くいい匂いだ。
そんないづみも抱き寄せたあと太一の手が背中を擦れれば、んっ……なんて甘い吐息が出る。いづみは涙目で太一を見上げている。その顔は更に少し頬が赤い。
太一も身体の中から火照るように暑くなってくる。
「俺は大丈夫っす……それより、いづみちゃん。仲直りのキス、してもいい?」
太一の服の裾をちょこんと掴むとこくんと頷き、いづみは瞼を閉じる。太一はそっといづみの唇にキスをする。
いつもに比べて気持ちが良い。それはいづみも同じようで目は瞑っているも普段に比べ息が少し荒い。
「……あ、あの……俺、もう少しいづみを味わいたい」